自滅する大都市 制度を紐解き解法を示す
織山和久 著
定価1,800円+税
- 自滅する大都市 制度を紐解き解法を示す
- 四六判・並製・260頁
- ISBN 978-4-908837-10-4 C0036
深刻なヒートアイランド現象、震災で甚大な犠牲者が予測される木造密集地域、雨水とともに河川に流出する排泄物や生活排水。日本の都市の住みにくさは、戦後から現代までに制定された法規制が、利権や思い込みにより是正されないことが原因だ。
本書ではそれらの弊害を明らかにしながら、都市の「解剖・病理・モデル・治療」といった観点から4つに章を分け、近・現代史ほか様々なデータを引きつつ、人間のための住み良い都市のかたちを提言。
都市再生は制度見直しに知恵を絞ることによって可能で、巨額の公共投資は必要としない。
東京五輪やIR、スーパーシティ構想への提言も。
《著者について》
織山和久
法政大学江戸東京研究センター客員研究員・教授、(株)アーキネット代表取締役。学術博士。
1961年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)を経て、1983年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製造、金融、専門サービス、官公庁から地域・都市経営まで多様な分野においてコンサルティングに従事。
1995 年(株)アーキネットを設立。土地・住宅制度の政策立案、開発プロジェクトの企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。2017年に都市住宅学会賞・業績賞を受賞。
横浜国立大学都市イノベーション学府・研究員客員教授、県立広島大学大学院経営管理研究科特別講師(ファイナンス、マクロ経済学)を歴任。
著書に『東京 いい街、いい家に住もう』(NTT出版、2009年)、『建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略』(ダイヤモンド社、1999年)、共著に『変革のマネジメント』(NTT出版、1993年)、『アジア合州国の誕生』(ダイヤモンド社、1995年)がある。
《目次》
第一章 いまの都市のかたち・・・どうしてこうなった?
Q1 戦後、木造戸建てが主流になった理由は?
Q2 なぜ木造住宅密集地域が広がったままなのか?
Q3 どうして沿道に、中高層ビルが壁のように建ち並ぶのだろうか?
Q4 最近、タワーがどんどん建つのはなぜ?
Q5 どれだけ道路を整備しても、渋滞がなくならないのはなぜだろうか?
Q6 道路が町境なのは、当たり前なのか?
Q7 東京が一極集中になったのはなぜ?
Q8 大都市が現在のかたちになったのは、業者の目先の利益のため?
第二章 都市が壊れる・・・このままで長続きするのか?
Q9 木造密集地域での地震火災はどれくらい危険なのか?
Q10 猛暑日が増えたのはなぜ?
Q11 高層ビルの圧迫感は、金額換算してどれくらいの不利益を与えているか?
Q12 地域のつながりが失われることの不利益は?
Q13 標準世帯って何?
Q14 延焼遮断帯は本当に防災に役立つのか?
Q15 都市空間は十分に活かされているか?
Q16 戸建てが建て込んでいるのに、なぜ都市空間に無駄があるのか?
Q17 車が道路空間を無駄遣いしていないか?
Q18 日本の都市広場から失われたものは?
Q19 公有地は誰のものなのか?
Q20 施設補助だからうまくいく?
Q21 都市集積の利益は誰の手に?
第三章 江戸の都市に学ぶ・・・コンパクトな緑化都市の姿
Q22 町家では内と外をどのように分けていたのだろうか?
Q23 江戸は核家族主体で職住分離の形式だったのだろうか?
Q24 江戸の道は、実質的に誰が管理していたのだろうか?
Q25 江戸の町人50万人を統治していた役人の人は?
Q26 江戸の貧困対策は?
Q27 江戸は緑化都市だった?
第四章 未来の都市を探る・・・パーツを見直し制度を改める
Q28 木造密集地域の不燃化は、本当は無理なのでは?
Q29 違法建築でも不燃化できるのか?
Q30 財政負担なく、共同建替えを促す方法はあるのだろうか?
Q31 大都市を低層化したら、いたずらに都市圏が拡大するのではないか?
Q32 共同建替えをしても、やっぱり街並みは整わないのでは?
Q33 人間優先で道路を管理する方法は?
Q34 現代の都市では相互扶助は期待できるのか?
Q35 都市は格子状でないといけないのか?
Q36 巨大資本でなければ、市街地再開発はできないのか?
Q37 町は株式会社化に馴染まない?
Q38 社会保障を、機関補助から人的補助に転換できるか?
Q39 ベーシックインカムにして財政は成り立つのか?
Q40 国の果たすべき役割はどうなるのか?
TOPICS
東京五輪に公益性はあるのか?
IRは都市に必要か?
都市マネジメントの視点で捉えた新型コロナウィルス感染症対策
スーパーシティ構想は、都市創生の切り札か?