『写真のなかの江戸』を歩く 第1回 「赤坂の町並み」その1

2月に上梓した『写真のなかの江戸 絵図と古地図で読み解く20の都市風景』。このブログでは、書籍では十分に書けなかった、各古写真の撮影地点の現状について、ご案内したいと思います。本書所収の【写真01】から【写真20】の20枚の古写真のうち、ここでは、【写真14】「赤坂の町並み」から始めます。赤坂門付近から西南方向の赤坂の町(現在の赤坂見附交差点付近)を撮った写真です。対象とする古写真は、書籍を参照していただければ幸いです。

本書にも掲載した江戸期の切絵図と現代地図。【写真15】「黒鍬谷」も含めて、両写真の撮影地点(カメラが据えられた地点)と撮影方向を記載しています。

では、【写真14】の撮影地点に向かいましょう。青山通りと外堀通りが交わる赤坂見附の広い交差点の北側には、江戸城の外堀「弁慶堀」が今でも水を湛えています。

弁慶堀に沿って永田町方面へと坂を上って行くと、石垣が唐突に現れます。

これが江戸城外堀の赤坂門(赤坂御門)の遺構です。写真の石垣は、桝形(ますがた)の入口にあたる高麗門(こうらいもん)の左側に続いていたもの。この裏には直角に折れる形で桝形北側の石垣も残っています。

 

幕末の江戸図「江戸絵図1号」(国立国会図書館所蔵)に描かれた赤坂門の桝形です。上記の高麗門脇と北側以外の石垣は取り壊され、現在は青山通り(国道246号線)の路面になっています。

【写真14】の撮影地点はこの赤坂門のすぐ北側あたり。弁慶堀の東端にある高石垣の上と推定されます。

(つづく)