『木の家を楽しむ』_事例紹介1「茅ヶ崎の平屋」

庭と融け合うオープンな平屋で好きな雑貨を並べて暮らす 

設計|木々設計室

藪を切り開いて建てた平屋は、そこだけが別荘地のよう。床の低いリビングや土間につながる広い庭を、子どもや犬が自由に行き来する気取りのない家。味のある日用品類は雑貨に目がない妻の趣味。テラスを拡張し照明器具を好みのものに付け替えるなど、カスタマイズを続けている。

すべて撮影:渡部立也/暮らしと家の研究所 写真部

 

住宅地に隣接する場所に、こんな森が……? そう驚いてしまうような環境に、Tさんの家はある。まわりを鬱蒼とした緑が取り囲み、窓からほかの家は見えない。無垢の木の柱梁を露出させた室内は、端正だが余計な飾りは排除されていて潔い。

LDKと小上がりの畳の間。厚さが3㎝もある軟らかいスギ無垢の床は、裸足で過ごすラフなライフスタイルにふさわしい。

 

訪れた人の目にまず飛び込んでくるのは、部屋のいたるところに置かれている雑貨類だろう。インテリアのすべてをコントロールしている妻は家具や雑貨が大好きで、6年ほど前までは古道具の店を営んでいた。

その前は、アメリカから輸入した子ども服を雑貨とともに売っていたこともあるという。

 置かれている家具や雑貨は、北欧、イギリス、アジア、アフリカ、そして日本のものなど、実に多国籍。家具類は、古道具店で売っていたものやリサイクルショップで購入したもの、捨てられそうなものを救い出して貰い受けたものなどが多いそうだ。

ダイニングやキッチンの棚に無造作に置かれたものを仔細に見ると、古びた空き缶から何気ないプラスチック製品まで、それぞれに味わいがあり、独自の世界観が奏でられている。「私はものの商業的な価値には興味がなくて、知識もないんです。ブランドのこともよく知らなくて。古道具のお店をしていたときは、お客さんから『これはいいものだからこんなに安く売っちゃダメよ』と教えてもらっていたくらい」(妻)。

生活用品はひと通り揃ってはいるが、それでも欲しいものは尽きず、ついつい雑貨を買ってしまうという妻。そんな母のことを、長女は少し呆れたように話す。「例えば、春に仕込んだアグリータを飲むためには、大きくて薄いグラスが必要だから買うと言うんです。大きいコップならもうあるのに」。そんな調子で、物は増殖する。「娘が高校生の時に友達から「はなちゃんの家はきれいじゃないけど居心地がいい」と言われたことがあって(笑)。物が増えすぎたら、余計なものは片付けるんですけど、やっぱり飾りたくなってまた出してしまったり。結局ごちゃごちゃになっちゃうんです」と妻。………<続きや図面は書籍でお楽しみください!『木の家を楽しむ』全国の書店amazon楽天などで発売中!>