楽しい公共空間をつくるレシピ プロジェクトを成功に導く66の手法
平賀達也・山崎 亮・泉山塁威・樋口トモユキ・西田 司 編著
定価2,500円+税
- 楽しい公共空間をつくるレシピ プロジェクトを成功に導く66の手法
- A5判・並製・192頁
- ISBN 978-4-908837-08-1 C0052
本書では、河川敷や、空き地、道路、広場、公園、団地、工事敷地内など、行政の管理下にある場所だけでなく、たとえ民間企業や個人の私有地であっても、公共空間になりうるのだと定義しています。そしてそのような公共空間を、イベントやフェス、またはシェアして利用することで、皆で楽しみながら、街の価値をつくる試みを紹介しています。
具体的には、コミュニティデザインに関わる専門家が各事例のコーディネーターや企画運営者、実行委員会に取材をし、イベントやフェスの実現の「コツ」と「方法」を「レシピ」としてまとめています。
またプロジェクトを成功に導く手法66を抽出し、チームビルディングからお金、運営のプロセス、共感を得る仕組みまで紹介しています。
運営組織と活用のダイアグラム、収支の詳細、開催までのスケジュール表など資料も豊富に掲載するなど実用に役立つ工夫、そしてカラーを多用し、やさしい語り口で読みやすくなるよう工夫しました。
巻頭と巻末に編著者5名による座談会も掲載。巻頭ではそれぞれの事例についての長所・特色などの寸評を、巻末では社会保障の一つでもある公共空間の行く末について警鐘を鳴らしています。
ディベロッパー、アーバンデザイナー、ランドスケープデザイナー、建築設計者など専門家のほか、イベントやフェスなどを立ち上げたい方、まちづくりに関わる方にぜひ読んでいただきたいと思っています。
《編著者について》
平賀 達也
1969年徳島県生まれ。高校卒業後に単身アメリカへ留学。1993年ウェストヴァージニア大学 ランドスケープアーキテクチュア学科卒業後、(株)日建設計入社。2008年(株)ランドスケープ・プラス設立。現在、同事務所代表、ランドスケープアーキテクト連盟副会長。
東京を拠点に、都市の中で自然とのつながりを感じられる空間づくりや仕組みづくりを実践している。
山崎 亮
1973年愛知県生まれ。1995年メルボルン工科大学(環境デザイン学部ランドスケープアーキテクチュア専攻)留学。1997年大阪府立大学(農学部緑地計画工学)卒業。1999年同大学大学院(地域生態工学専攻)修了後、同年(株)SEN環境計画室入社。2005年studio-L設立。2013年東京大学大学院(工学系研究科都市工学専攻)博士課程修了。現在、(株)studio-L代表、慶應義塾大学特別招聘教授(総合政策学部)。
地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。
泉山 塁威
1984年北海道札幌市生まれ。2007年日本大学(理工学部建築学科)卒業。2009年同大学大学院(理工学研究科不動産科学専攻)博士前期課程修了、2015年明治大学大学院(理工学研究科建築学専攻)博士後期課程修了。博士(工学)。(株)アルキメディア設計研究所、明治大学助手、助教、東京大学先端科学技術研究センター助教などを経て、2020年より日本大学(理工学部建築学科)助教。現在、(一社)ソトノバ共同代表理事・編集長、PlacemakingX 日本 Regional Network Leader、東京大学工学部都市工学科非常勤講師。
専門は、都市経営、エリアマネジメント、パブリックスペース。「プレイスが豊かになれば、地域や都市は豊かになる(The Better Place, Better Area, City)」をモットーに、タクティカル・アーバニズムやプレイスメイキングなど、パブリックスペース活用の制度、社会実験、アクティビティ調査、プロセス、仕組みの研究・実践・人材育成・情報発信に携わる。
樋口 トモユキ
1972年愛知県生まれ。1997年早稲田大学大学院(理工学研究科建設工学専攻)修了。同年(株)日経BP入社、2004年より建築専門誌『日経アーキテクチュア』記者。2010年東大まちづくり大学院(工学系研究科都市工学専攻)修了。2015年~16年まちづくり会社ドラマチックにてディレクター。2017年ローカルメディア設立。
現在、同代表編集者、ソトノバ副編集長。地域を主体としたイベントの企画や盛り上げ、制作・編集に携わる。
西田 司
1976年神奈川県生まれ。1999 年横浜国立大学(工学部建築学科)卒業後、同年スピードスタジオ設立。2002~07年東京都立大学大学院助手。2004年(株)オンデザインパートナーズ設立。現在、同事務所代表、東京大学、東京工業大学、東京理科大学、日本大学非常勤講師。
住宅・各種施設の建築設計や家具デザイン、まちづくりなどにて幅広く活動を展開。
《目次》
・はじめに 平賀達也
・座談会
魅力的な公共空間は社会課題をも解決する
平賀達也・山崎 亮・泉山塁威・樋口トモユキ・西田 司
Chapter 1 屋外劇場型
Recipe 01
都心の川面でそよぐ反物、「染色の街」の新たな挑戦
染の小道
Recipe 02
親子で楽しむ野外上映、場所と体験を結び付ける
ねぶくろシネマ
Chapter 2 社会実験型
Recipe 03
「実験フェス」でエリアマネジメントの事業可能性を検証
パブリックライフフェスさいたま新都心2018
Recipe 04
都市再開発を踏まえ「つかう」視点から広場の担い手を育成
あそべるとよたプロジェクト
Chapter 3 参加体験型
Recipe 05
参加者の能動的な遊びに任せた「都市を体感する」イベント
アーバンキャンプ
Recipe 06
地域のスキマに遊びを出前
移動式子ども基地
Chapter 4 持続発展型
Recipe 07
市民がつくり出す愛情溢れる駅前広場
いずみがおか広場 つながるDays
Chapter 5 機能再編型
Recipe 08
アートプロジェクトから生まれた街の価値を高めるコミュニティ農園
みんなのうえん北加賀屋
Recipe 09
郊外駅前を再生するまちのリブランディング事業
ホシノタニ団地
Chapter 6 期間限定型
Recipe 10
ディベロッパーが推進する仮囲いのなかの「みんなの学び場」
吉日楽校
Recipe 11
グローバル企業が挑む「パーク」という持続可能なプラットフォームづくり
Ginza Sony Park
・あとがきに代えて
公共空間は守られるべき権利